Series · 40273 · Traces

40273

40273

風景のノイズを透過する。残された線と余白が織りなす、日常のイマージュ。

Concept

Series Commentary — Tsuda Shoichi

見慣れたはずの光景は、輪郭線を抽出されることで、全く新しい「余白」を生み出す。

本シリーズ「40273」は、日常の中に存在する人物や風景、そして彼らが落とす影を、限定された色彩とゆらぐ輪郭線によって再構築する試みである。過剰な情報に溢れた現実の風景から、色彩の大部分を剥ぎ取ることで、そこに残された「線」と「空白」が、かえって強い実在感を放ち始める。

画面の大半を占める白い空白は、単なる未完成の領域ではない。それは鑑賞者の記憶や無意識が投影されるスクリーンであり、ノイズから解放された純粋な視覚体験への入り口として機能する。

01

線の抽出とゆらぎ

被写体を規定する境界線のみを残す。震えるような線描は、対象の不確かさと、そこに宿る生命の律動を同時に表現する。

02

色彩の再定義

現実の固有色から離れ、シアンやマゼンタ、イエローといった原色に近いノイズのような色彩を配置することで、現実と虚構の境界を曖昧にする。

03

空白の雄弁さ

描かれないことで立ち上がる空間。情報を削ぎ落とすことで、鑑賞者は自らの記憶を補完し、作品との対話を深めていく。

2014
セプテンバーLODGE!2014

セプテンバーLODGE!2014

September LODGE! 2014

2014 / 53.0 × 53.0 cm / Oil on canvas

2014年9月27日、秋晴れの空の下で起きた御嶽山の噴火。戦後最悪の火山災害となったこの出来事を伝える信濃毎日新聞の報道写真が、本作の源流となっている。紅葉を楽しむ多くの登山者で賑わっていた山頂のロッジは、突如として降り注いだ火山灰により、一瞬にして灰色の世界へと呑み込まれた。

本作では、その惨状をあえて「雪山」を思わせるような純白の余白と、鮮烈な青空のコントラストへと反転させている。人物の衣服に施された赤や黄色の限定的な色彩だけが、無機質な白の空間において生命のノイズのように際立つ。現実の悲劇的な光景の輪郭線を抽出し、色彩を再定義することで、失われた日常の記憶と自然の不条理を静かにキャンバスへと定着させた一作である。

2010
風力発電所のイマージュ(銚子)

風力発電所のイマージュ(銚子)

Image of Wind Farm (Choshi)

2010 / 21.0 × 29.7 cm / Pen on board

銚子の海岸線に立ち並ぶ巨大な風力発電のプロペラ群。人工的な直線と自然の有機的な境界線が交錯する光景を、限定的な色彩の線で抽出している。

2010
【landscape(Hiraizumi)】

【landscape(Hiraizumi)】

Untitled

2010 / 97.0 × 130.3 cm / Oil on canvas

風景の一部、あるいは水面の反射や地形の俯瞰図のようにも見える抽象度の高い作品。細かな線の集積と、所々に現れる滲んだような色彩が、無機質なキャンバスに有機的な広がりを与えている。

2010
【a_girl】

【a_girl】

Lithograph

2010 / 29.7 × 21.0 cm / Lithograph

対象を直接描くのではなく、フィルター(版)を通してイメージを出力するプロセスそのものが、私たちが現実の光景をどう知覚し、記憶しているかという不確かさと重なり合う。

2010
影と遊ぶ

影と遊ぶ

play with shadow

2010 / 145.5 × 97.0 cm / Oil on canvas

明るい路地を歩く少女と、路面に反射するその影。光と影の反転、そして実像と虚像のコントラストが日常の風景を異化させる。

2010
品川駅前

品川駅前

in_front_of_Shinagawa_Station

2010 / 116.7 × 91.0 cm / Oil on canvas

都市の雑踏の一角、駅前に立つ人々のシルエットを抽出した作品。床のタイルのパターンが赤い線で細かく描かれる一方で、人物や建物的ディテールは徹底して白く抜かれている。

無数の人々が行き交うターミナル駅という空間を、これほどまでに静謐で空虚な空間として提示することで、現代都市における個人の匿名性と孤独感が浮き彫りになる。

2010
ビーチにて

ビーチにて

@_the_beach

2010 / 116.7 × 91.0 cm / Oil on canvas

記憶の中の夏の陽炎のような、実体と幻影の狭間を描き出している。

2010
室内のイマージュ

室内のイマージュ

Image in the room

2010 / 72.7 × 91.0 cm / Oil on canvas

机、椅子、そしてそこに佇む人物らしき輪郭。見慣れた室内の風景が、断片的な線描によって解体され、再構成されている。

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