Series — Abstract / Cave  ·  Unit World

抽象

Abstract

Oil on Canvas  ·  Landscape & Memory

形態の解体と再生成。
油彩による純粋な絵画行為が残す、存在の痕跡。
視覚的な枠組みを排したキャンバスの上に立ち上がるのは、
物質としての絵の具と、空間、そして時間の交錯です。

Series Statement

「抽象(Abstract)」シリーズは、制作における脱領土化——すなわち形態・意味・物語が解体されていく過程——を、最も純粋な形で体現した作品群です。

具体的な対象を持たず、あるいは対象を持ちながらも、その形が絵画行為の中で次第に溶解し、別の何かへと変容していきます。油彩という物質の重さ、筆の痕跡、絵の具の層。描き、削り、重ねていく行為の蓄積が、具象を解体し、新たな感覚の地平を開いていくのです。抽象絵画は「何を描くか」ではなく「いかに存在するか」を問うものです。

本シリーズには、初期の実験的なドローイングから、現在進行形の大画面油彩まで、私の形態変容への問いが連続しています。それは単なる様式の変化ではなく、「左美都という土地の感覚をどこまで絵具の層として蓄積できるか」という持続的な探求の記録でもあります。

抽象とは、何かを描かないことではありません。何かを描くことをやめられなくなった先にあるものです。私が「抽象」と呼ぶ作品群は、最初から「抽象的なもの」を目指して描かれたわけではありません。むしろ、描き続ける中で具体的な形が溶け出していった結果として生まれたものです。

油彩という素材は、決して素直ではありません。乾くまでの時間、混ざり合う色、予期しない質感——これらは絵を描く者の意図を超えて動き始めます。〈脱領土化〉とは、この素材の反乱に身を委ねる行為でもあります。

抽象シリーズを通じて私が問い続けているのは、「絵画は何を記録できるか」という問いです。形でも色でもなく、その場にあった何か——感覚の痕跡を留めることが、絵画の本質かもしれません。それは左美都の地質が数千万年の時間を岩に閉じ込めるのと同じように。

— Tsuda Shoichi

2020
flow

flow

53.0 × 72.7 cm / Oil on canvas

絶え間なく流動する意識の表層を捉え、キャンバスの物質空間に定着させる試みです。色彩の有機的な重なりは時間の積層を体現し、生そのものの不可逆な運動性を静かに物語ります。

2016
どんど焼き

どんど焼き

72.7 × 60.6 cm / Oil on canvas

土着的な炎の儀礼。闇を焦がす火の粉と、土地の記憶に深く刻まれた祈りのエネルギーを、激しく交差する抽象的なストロークへと昇華させた作品です。

2009
Dregs(澱)

【Dregs(澱)】

72.7 × 53.0 cm / Oil on canvas

意識の底流に深く沈殿する記憶の残滓。言語化を拒む内省的な感情を、物質としての絵の具の重なりによってキャンバスに定着させています。

2009
tHE n0iSe Of ThE PriMItⅣe sEA

tHE n0iSe Of ThE PriMItⅣe sEA

65.2 × 53.0 cm / Oil on canvas

生命の根源的な混沌。原始の海が発していたであろう不協和音を、激しい色彩の衝突とストロークのノイズによって絵画行為へと昇華しています。

2009
Damage Dealer

Damage Dealer

91.0 × 72.7 cm / Oil on canvas

黄と青、二つの領域がせめぎ合う画面の中で、人のかたちが溶け、滲み、また結ばれ直していきます。具象と抽象のあわいに留まり続けることで、傷つけること/傷つくことの両義性が一枚の絵肌として定着しています。

2009
3.13【a cAstLe】

3.13【a cAstLe】

91.0 × 65.2 cm / Oil on canvas

構築と崩壊の極限の境界に立ち現れる、脆弱で不確かな構造体です。個人の内面にそびえ立つ、侵されざる砦の静かなポートレートとなっています。

2009
Still-Life♪

Still-Life♪

65.2 × 53.0 cm / Oil on canvas

静物画(Still Life)という古典的テーマの現代的な解体です。静止した物体の内奥に秘められた、密やかな運動性とリズムを楽譜のようにキャンバスに配置しています。

2009
CG

【CG(Cell-Graphics) [catastrophe] - II】

65.2 × 50.0 cm / Graphic & Oil

デジタル的な細胞の増殖と、不可避なカタストロフ。油彩という古典的メディアを交錯させながら、現代の視覚的飽和構造を模索した初期の抽象表現です。

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