早春圖-改
古典山水画における「早春」という季節の機微を、黒の堆積として描き直す。冬の終わりに兆す気配は、明るさとしてではなく、闇の密度がわずかに緩む瞬間として現れる。
Series — The Black Period · Pencil and mixed media on panel
The Black Period
黒とは、色の終わりではなく、色の始まりだ。
すべての色が沈んでいく場所であり、何かが燃え尽きた後に残る、静かで重い色調。
黒は不在ではない。
Series Statement
黒を塗るたびに、下の層が生き始める。
消すことで、初めて「見えるもの」がある。
「黒の時代(The Black Period)」という命名は、ピカソが精神の傷を青一色で塗り込めた「青の時代」を、どこかで意識しています。あの時代における青が絶望の濃度であったように、私の黒もまた、感情の飽和点——言葉になる手前で何かが凝固した状態として機能しています。
ただし、この黒は追悼ではなく、「密度の探求」です。黒の内側に、どれだけの世界を封じ込められるか。油彩の黒は、キャンバスに塗り重ねるごとに固有の表情を持ちます。艶、マット、引っかき傷、滲み——二枚として同じ黒はありません。
黒を使い切った後、私の絵画は変わりました。黒という極限値を経験したことで、他の色が別の重さを持つようになったのです。「黒の時代」は終わりましたが、黒は今もどこかに残っています。それはすべての絵画の底に、見えない層として沈んでいます。
— Tsuda Shoichi
古典山水画における「早春」という季節の機微を、黒の堆積として描き直す。冬の終わりに兆す気配は、明るさとしてではなく、闇の密度がわずかに緩む瞬間として現れる。
混沌から秩序が立ち現れる神話の原点。幾重にも塗り重ねられた黒の層の奥底に、物理的な力の衝突と、大地が形成される力強い胎動を記録している。
時間を超越した永遠の理想郷、常世。不可逆な時間の流れと人間の記憶の不確かさを、深い沈黙と無数の色が潜む黒の空間として立ち上げた。
太陽神の隠遁により世界が闇に包まれた原初の暗黒。単なる光の喪失ではなく、岩戸の向こうに蓄積されるエネルギーと、夜明けに向けた静かなる緊迫感を表現している。
雲が定義される前の、まだ形を持たない大気の状態。輪郭が確定する直前の漂う気配を、黒の濃淡が織りなす層として捉えた一作。
常世の国を統べる存在として、浦島太郎の物語にもう一つの視座を与える。黒い水底に沈む宮殿の気配は、招くものであると同時に、決して戻れない不可逆の象徴でもある。
原初の闇の中からまさに形を成そうとする、未分化のエネルギー。神話的生命の幼生を通じて、無から有が生み出される瞬間の静かな躍動を閉じ込めている。
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